『少しでも長く一緒にいたいし。』



不覚にも、そんな言葉にキュンとしてしまった。


もお~……


単純すぎるよ自分っ!


アイツの言うことを真に受けてどーするッ!


「……何してんの、姉貴。」


「うわっ!遼!」


玄関で靴を履いたまま小さく地団駄を踏んでいるあたしを、冷めた目で遼が見ていた。


アンタいつからいたのよ!?



「…とりあえず中入れば。」


「はい…」



なんて威厳のない姉貴なんでしょう。


「麻衣ちゃんおかえりー☆」


「ただいまー。」


「洗濯物ちゃんと出しといてね!」


姿は見えなかったが、リビングからお母さんの指示が飛んだので脱衣所に直行した。


「えーっと、Tシャツとタオルと……」





『ウチはやってくれる人がいないからね。』


……そういえば

あれ、どういう意味だったんだろう…


やってくれる人がいないって…


お母さんは遅くまで仕事してるとかなのかな?


現に8時過ぎても誰も帰って来なかったし…


大変だなぁ、共働きも。






「……お風呂入ってさっさと寝よ。」