「あ。」


「んっ?」



何か思い出したように千夏が本を入れる手を止めた。



「そういえば、転校生で思い出したけど、近々ウチの学年に転校生来るくさい。」


「マジ!?」


「たぶんマジ。昨日職員室でツトムくんとその他の2年の先生で話してんの聞いちゃった。」



「よっしゃ!」



あたしは両手で大きくガッツポーズをして見せた。



「女らしさゼロだな…」


「イケメン!?イケメンイケメン超イケメン!?」


「ちょ…あの、鼻息荒いんだけど。必死過ぎて怖いし。」



今にも千夏を取って食べるんじゃないかってくらい顔を近付ける。


「イケメンかどうかはわかんない。てか、男じゃないかも。チラッと名前が聞こえたんだけど…女の子っぽい名前だった気がしたんだよねー。えっとねー…なんだっけな…確かー…ヒナ…ヒナ…ヒナタだ!」


「ヒナタって絶対女の子じゃん!」


「いえーい☆」



ガックリ肩を落とすあたしを横目に、國政がガッツポーズを見せた。



「そんなに人生うまくいかないって。諦めな。」


「うぎゃ!」




千夏に持っていた本で頭をこつかれてしまった。