「………俺、もう行くわ。コーチ待たせてるし。」


陽はあたしと目を合わせないようにすると玄関に向かった。


こんなに…近くにいるのに、


近くですれ違っても



遠いよ。




「お前逃げんの。」


「………うるさい。」


「お前がしてることは、麻衣も紗結ちゃんも、二人を傷つけてるよ。よく考えろ。」



「傷つけてるつもりはない。少なくとも、麻衣を…傷つけた覚えはない。」











…………な……



き…傷つけた…


覚えは…………



ない……だと?




………ちょっと待てよ…コラ





あたしはアンタがしてくれた言動に、



こんなに悩んで…



落ち込んでんのに…





傷つけて…ないだと…





「…………と…て……よ…」



「…あ?」



「ちょっと待てっつってんだよ!!」



今まで出したことがないくらいデカい声で叫ぶ。


陽も旭もその様子にキョトンとしていた。