「……い……麻衣ちゃん?」


「へっ?」


「これ、プリント。」


「あぁ…ごめん。」



ハッと我にかえると紗結ちゃんがあたしの顔の前でプリントを見せて首を傾げていた。



「どうしたの?なんだか今日はボーッとしてるみたいだけど…」


「そ、そう?ちょっと眠くて!」


あたしは苦笑い気味に答えた。



ごめん、紗結ちゃん…。


本当は違うこと考えてました。





『麻衣と一緒にいるときが幸せカモ…』



『ヒナ、麻衣のこと気に入ってるみたい』




あああぁ……


よくよく考えても昨日はおかしい日だった…

まず旭がおかしかったし(まぁいつもおかしいけど…)、あたしもおかしかったし…


挙げ句、変なこと言われるし…



一体何だったんだ…昨日は…


おかげさまであたしの頭の中は同じセリフがぐるぐる回っている状態で、まるで抜け出せない迷路に迷いこんでしまったようだった。


授業も全く頭に入ってこないし…参ったなあ…



頬杖をつきプリントに目を落とす。


英単語のミニテスト…やらなきゃいけないってわかってるんだけど、頭がまだ英語の授業に切り替わってない。




「…い…おい。」


「……ん?」