長かった夏休みもあっという間に過ぎ、気付けば10月を迎えていた。


制服も衣替えがすみ、秋がすぐそこまでやってきていると言ったところだ。




季節の流れって本当早いよなあ…………


………………………




「…で、つまりここの解は0で………てめぇ……聞いてんのか!」



ガンッ!!



「……ったああ~…」


ものすごい衝撃にガッツリ閉じていたまぶたがパチリと開いた。


目を細めてとなりを見ると、ものすごい剣幕であたしを睨む陽の顔が間近にある。



「おわっ!」


「……人が教えてやってんのに寝てるとは何様だ、てめぇは。」


「あ、そうだった…」




今は大嫌いな数学の授業。今日はツトムくんが研修とやらでいないので、いつもの退屈な授業ではなく自習になっているが、出された課題を終わらせなければいけなかった。


そして数学ができないあたしは陽に教えてもらっていたところだったんだけど…


暑くもなく寒くもない心地よい天気のせいで自分から聞いたくせに眠りに落ちていた。



「そうだったじゃねーよっ。」



寝起きでボーッとするあたしを起こすように陽がもう1発机を蹴った。


「暴力反対ッ!」