「あはははっ………」


「んだよ…叩かれて笑ってんなよ。気持ちわりぃな…」


「だって…うれしいんだもん…」


「…はぁ?」


「余計なことして本当にごめんね…でも、本当に良かった。きっとお母さんも喜んでると思うよ♪」




本当に良かった…。

確かに陽の言うとおりすぐに“家族らしい家族”にはなれないと思う。


それは市瀬父もきっと同じ気持ち。


だけど、ゆっくり少しずつ歩み寄ってお互いを理解していけばいいと思う。


ゆっくり時間をかけて家族を作りあげていけばいい。



あたしが満面の笑みで陽を見つめると、陽はパッと顔をそらしてしまった。


あれ……。
顔赤いけど…

もしかしてコイツ、照れてる?




「ねえねえ、もしや照れてる?」


「あぁ?照れてねぇよ!……帰る。」



完全に図星じゃん!


笑える…


意外な陽の姿に思わず吹き出しそうになるのをこらえていると、陽があたしの持っていたビニール袋を手に取った。



「……お前も帰んだろ。行くぞ。」


荷物持ってくれる…ってこと?



「ありがとっ。」


「気持ちわりぃな…ヘラヘラすんな。」


「言い過ぎでしょ!」


口は悪いけど、心なしか陽の顔は優しく見えた。



本当、素直じゃないんだから。