「あのー…じゃあ、ここから社長に伝言とかできますか?」


「伝言、ですか?」


「せめてあたしが来たことだけでも伝えてほしいんです!」


「は、はあ…あの、申し訳ございませんが、社長とはどのようなご関係でしょうか。」


「えーっと…社長の息子たちの友達です!お願いします!今すぐ伝えてください!」


「しょ、少々お待ちください…。」


あたしの迫力に圧倒されるように受付のお姉さんは、電話の受話器を耳にあてた。


「はい……社長の息子さんのお友達という方が見えられまして……女性の方です……はい…あの、すみませんがお名前は?」


「あっ、小泉です!」


「小泉さんとおっしゃるようです………はい……」


「すみません!ついでに、先日マンションでお会いした頭の悪そうな女です、ってこともつけ加えてください!」


「えぇ!?でも……」


「いーから!そう言えば社長には分かるハズなんです!」



もはや身を乗り出す勢いで指示を出すと、お姉さんはうろたえつつもあたしに言われた通りそっくりそのまま伝えた。


「今、社長は会議中でして確認を取るのに少々お時間がかかるのですが…」


「待ちます!」


「は、はあ…それでは確認が取れ次第お呼びいたしますのであちらのソファーでお待ちください。」