「ただいまぁ。」


「あ、おかえり。」



リビングではお母さんと弟(小6)の遼(りょう)がロールケーキを食べていた。


「あ、それ!」


「さっきね、新しいおとなりさんからもらったの☆」



見覚えのあるフルーツのロールケーキ…



「それがね!聞いてよ!麻衣ちゃん!」



聞いてるよ。



「しかもそのおとなりさん、超~カッコいいの!今でいうとこのー…イケメン、ってやつ!?お母さんビックリしちゃって!!」


「この人、何のためらいもなく芸能人ですか?って聞いてたんだぞ。恥ずかしすぎる!」


遼が呆れたようにロールケーキをまた一口食べた。


「だってあんなにカッコいい人がおとなりさんなんて信じられないじゃない!?麻衣ちゃんも見てみなよ!」


「見たよ。」


「そうなの!?」


「今、ちょうどエレベーターでバッタリ。」


「カッコよかったでしょ!?」


「うん!タイプ!」



あたしは親指を立てて答えた。


「これをキッカケに麻衣ちゃんと結婚とかしてくれないかしらね~。」


「いやいやそれはムリだろ!コイツがイケメンと結婚できる確率は宝くじで3億当てるよりムズいぞ。」


「おい。」


「そっかぁ…そうよね…」


「あの、アナタ、親なんだからもうちょっと自信持ってくれます!?」