「ありがとうございます!」


あたしはそそくさと出ると足早に家の号室へと向かった。

イケメンに興味はあっても実際のところイケメンに対する免疫なんぞあたしにはなく、とにかくこのド緊張から逃げたかった。


なかなかのヘタレっぷり!


後ろを振り向かないようにしていたが、足音だけは近付いてくる。



どこ!?

どこの部屋!?


ちなみにあたしは15階のイチバン奥から2番目の部屋…


なんだけど…



そうこうしているうちに家の前へと着いてしまった!


ドアの前で足を止める。


「へー。ここなんだ。」


「え!は、はいっ!」


「俺はこっち☆」





こっち!?


市瀬さんはあたしを通過するとさらに歩いて行った。



足を止めた場所はイチバン奥の部屋の前。


「おとなりさんだね☆」





え……




えーっ!!!



偶然にもほどがあるよ!!


まさにベタな出会いっ!!


てか、こんなイケメンさんとおとなり同士なんて…何か起こってもおかしくない!



「それじゃあ、またね。」



市瀬さんはニコッと微笑むと鍵を開けて中に入っていってしまった。




「…期待しすぎか。」



そうそう少女マンガみたいにウマいことはいかないよなぁ…。