一見、何の変わりも
みせない日々が
続くかにみえたある日


ほんとは
状況が変わっていたことを
偶然知った。

 
「悪いね。渡辺さん
面倒だけどお願いするね。」

「いいですよ。
しっかし、久しぶりに
見ますよね。
小切手なんて。」

小切手入りの封筒をあずかり、
軽口をたたき社屋の玄関口で
別れる。


やばい!窓口が閉まる。

内心ドキドキしながら
銀行へむかう。

銀行に行くには
最近、すっかり寄り付いてない
樹里の住むマンション前を
通過する事になる。


この時間だと
まだ、部屋に
いるかもしれない。

そんな事を思いながら
エントランスのほうを
チラッとみると
一組の男女の姿があった。


「・・・!!」


男が、女の肩を
抱き寄せる様にして
髪をガシガシと撫で
何かを話している。

・・・髪

黒くなってる。

アッシュって奴?

何でこんな時に限って
会いたくない時に限って
こっちにあるいてくるかなっ?!
あのバカは

しかも、樹里は
私に気付かずにいて