「誰が…っ!」
晴信の表情を見て、私は言葉を忘れてしまった。
何故、そんな顔をする…!?
いつも、余裕で意思の強い黒い瞳が…寂しそうに揺れていた。
まるで愛情に飢えた、寂しい子供がするような…瞳。
その瞳を見ていると、承諾してしまいそうで、慌てて逸らした。
…この男は敵、敵、敵なのじゃ…!
私は何の為に戦っている!?
義の為じゃ。
一度立てた己の義、貫き通さねばならん!!
「断る!!」
それにお前には…妻がいる。
「私だけのものにならないのなら、断る。」
それが、一番私の正直な想いだった。
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