「…今宵は静かに飲みたい気分なのじゃ。すまぬが、一人にしてくれぬか?」
どうしたというのじゃ…私は。
少年達は不思議そうな顔をしながらも了解し、部屋を後にしていく。
「では景虎様、何かありましたらお呼び下さい。」
「あぁ…すまぬが、梅干しを頼む。」
「畏まりました。」
私は梅干しで酒を飲むのが好きだった。
すぐに少年が梅干しを持ってきてくれ…それから、一人きり。
「…晴信…。」
どうしたというのじゃ…私は。
あの夜から…いかなる時も、何をしていても…晴信の事を考えてしまうのじゃ。
晴信の事を考えると…心の臓が痛んだ。