「待ってくれ!!」 突然、健ちゃんに切羽詰まった声で呼び止められた。 振り返って健ちゃんを見ると…。 すごく切ない表情をしていた。 何かを懐かしむような…それでいてすごく悲しいような…泣きそうな表情で…そして、私を見る目はすごく優しくて…。 とても小学生のする表情じゃ、ない。 その顔に、一瞬ドキッとしてしまう。 「な…何…?」 「覚えて…いないのか…?全て…忘れてしまっているのか…?」 健ちゃんは複雑な表情のまま、小学生らしからぬ言葉遣いでそう言った。