透夜の声がして、本人が、突然目の前に飛び出して来た。 ホッとして、嬉しくて、顔が緩む。 と、透夜はあたしの腕をつかんで、分厚いドアの外、ライブの音を遮断した廊下へ連れ出した。 そこには誰もいなかった。 中で、次のバンドの演奏が始まる。 透夜は腕を離して振り返った。 「大丈夫だったか?血、出てる」 言って、背を曲げると、親指であたしの唇をぬぐった。