ケータイ小説のような
派手なこともなく、毎日は
ただのんびりと過ぎていく。

僕らは、ケータイ小説が
描く、現実的な感じもする
僕らにとっては非現実的な
世界を、ヒマを見つけては
ぶらぶらと散歩して過ごした。

たまには、援助交際して
妊娠して、ホストに騙されて
癌になって

真実の愛に気付けよ!

そんな愚痴も
こぼしたくなるほど
僕らの日常は
惰性的でつまらない。

そんなつまらない
僕らの日常に時折吹く
非現実的な風、それは
中澤初音の存在だった。

7年前に
この街に越して来た
中澤も、僕らと
同じように歳を重ね
今や17歳の
立派な女子高生である。