うだるように暑い季節だった。
 
鳴き続ける蝉の声にもいい加減うんざりだけど、止められないそれを、私は険しい顔して聞き流していた。
 
 昼下がりの公園。
人っこ1人いやしない。
 
それもそうだ。
この暑さだもの。
 
ようやくありついた木陰のベンチに、崩れるように座り込んだ。
 
うんざりしてたのは暑さや蝉の声だけじゃない。

この時の私は、身近な状況にも、世の中にも、自分自身にもほとほと愛想が尽きていて、後先を考えずに会社をとびだしたのだ。