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気がつくとホームルームは終わっていた。





僕は急いで教室を出た。





気持ちを落ち着かせたかった。





そしてトイレに向かった。





それも近くにあるトイレではなく、少し遠くにあるトイレ。





誰とも会いたくなかった。





トイレに着くとそこには誰もいなかった。





そしてゆっくりと鏡に近づいた。





恐る恐る覗き込むと、そこにはいつもの僕がいた。





不思議と気持ちは落ち着いた。




汚れてもいない手を丹念に洗いながら、呟いた。





『まだ一緒に帰っただけ』





この言葉で僕は感情を抑えていた。





蛇口を閉め、手に残った水滴を払いながらまた呟いた。




『後悔はしたくない。』





僕は急いでトイレを後にした。