「だからね、大切な人に構いたくて構いたくて仕方なくなる。二人分の洗濯物干しながら一緒に居るって実感して、ご飯を作りながら雪はどんな顔をして、何て言うだろうって……考えると幸せで」



言いながら顔が緩んでるのがわかる。

きっと青が知ったら騒ぎまくるくらい、幸せ指数の高い顔。


俺をこんな顔にさせるのは絶対、雪しか居ない。



「だから、雪が俺と居て辛いなんて絶対嫌だ」



ずっと不安だらけの顔で俺を見つめていた雪を軽く抱き寄せ、訴えるように囁いた。


この体温も感触も匂いも全部、俺の居場所になってしまってるから。



「……そんなの狡い」


「えっ?」



困ったように目線を伏せた雪が俺から体を離し、小さく口を開く。


にわかに感じる胸騒ぎを必死に追い払い、雪の言葉を待つ。



「秋さんが全部やっちゃうから、わたしは……秋さんが感じてるその幸せを味わい損ねてます。それに……」


「それに?」


「与えて貰った側が感じる幸せ、秋さんは味わい損ねてます……から」



言い終えた途端、真っ赤になった雪の頬が愛しくて堪らなかった。