W i l l B e H a p p y

「どれくらい行ってるの?」

「1年くらいかな?」

「そんなに・・・。」

「まぁ、入ってょ。
 今日帰ってくるらいいょ?」

「ふーん」

「一人で寂しくないの?」

「もう慣れたょ」

寂しそうな顔で言う。

なにこの部屋。

全然生活カンがないんですけど・・・。

リビングにはテレビとソファー、

モフモフのカーペットの上に小さな机だけ。

この部屋をより綺麗に見せる観葉植物たち。

涼しささえもかんじさせる大きな水槽。

軽く2mくらいはある。

「この魚、なんてゆーの?」

「それはね、アロワナだょ」

「へー。」

「俺、服着替えてくるから、そこら辺を
 うろうろしといて!」

「わかったぁ」

私は一番奥の部屋のドアを開けた。

その部屋の中には、大きなグランドピアノが

ぽつんとたっているシンプルな部屋だった。

「きれい」

私は、4歳の頃からピアノを習って、中学3年で止めてしまった。

それ以来ピアノは触っていなかったが

ピアノに触りたくなった。

私の一番好きな曲、バッヘルベルのカノンだ。

ピアノのふたを開け、時間を忘れたように

引き続けた。

どれくらいの時間がたったのだろう?

外は夕焼けでカラスが鳴いていた。

「気すんだ?」

「うん。いつからそこにいたの?」

「ずっと。そろそろ帰るか!」

「うん」

そして2人で玄関をでたら黒い車が止まった。

中にはお兄ちゃんに似た男の人が

サングラスをかけて乗っていた。