「なんで…来たのよ。」


両手でパンパンと、はたく後ろ姿に恐る恐る声をかける。


静かな空間が、一層静かに感じた。


時宗)「そこを左に行けば山から出られる。お前はアイツのとこに行け。いいな。」




…またそれか…。
頑(カタク)なに意見を曲げない時宗。


痛みを感じる足を悟られないように、き然と立ち上がり歩き出す。

言われた通りの道を目指して。



時宗は…

あの時どう思っていたんだろうか。

ただただ彼の視線を背中に感じながらも、
あの時の私は振り返る事もしなかった。


勝手な自己中男。
そう、思っていた私は、彼への苛立ちと、自分への情けなさで、投げやりになっていたんだ。