アンチバリアフリー

わからないわけない。
早紀はおれの初恋の人だった。
3年ぶりに会った早紀の顔は確かにあの頃の面影を残していたのだが、ただおれの目には早紀を精巧に真似てつくられた”偽物”のようにうつっていた。
どこがどう違うかと聞かれてもはっきりとは答えられないが、なにか近寄りがたい雰囲気を放っていた。

「いやけっこう変わった気がするよ。大人っぽくなったっていうか、なんか普通の人とは違うオーラがでてるっていうか、、」

「ほんとに!?そう言ってもらえるとうれしいな。私今モデルやってて、テレビとかにもちょっとでてるんだよ。今日も撮影の帰りなんだぁ、メイクとかそのままできちゃった。あっ、もしかして知ってたとか?」

偽物だと感じたのはそのせいだったのだろうか、確かにおれの目の前で無邪気に話している今の姿からは本物というか昔と変わらない印象を受けている。
しかしそんなことではない、外見だけじゃないんだ、漠然とした言い方しかできないが早紀からはかすかにおれと同じにおいを感じた。

「なんでそんなに反応鈍いの?せっかく久しぶりに会ったのに。来ない方が良かった?」

「ごめんごめん、そんなことないよ、来てくれてうれしいって。ずっと待っててくれたんだろ?雨でけっこうぬれたんじゃない?あがってけよ」

「うん、じゃあ遠慮なく」

早紀の言葉は、形や重さのないはずの空気を素通りすることなく、しっかりとおれの心に響いていった。