アンチバリアフリー

おれは高校の近くの安いアパートを借りた。
アルバイトも始めた。
想像していたよりもずっと楽な暮らしだった。
高校にもちゃんと毎日通った。
以前まで友達だったやつももうおれに気を使うことなくみんなでわいわいやっている。おれの方をちらちらと見ては何かコソコソ話しているということもすぐになくなった。
人の噂も七十五日というのは間違いなく嘘だ。
以前彼女だったやつも泣きながら別れてくれと頼んできた。
部活も辞めた。
おれは誰にも話し掛けなかったし誰からも話し掛けられなかった。
そしておれは”空気”になった。