アンチバリアフリー

いつもとなんにも変わらない廊下の先には、二人分の血液で血まみれになっている部屋の真ん中で不精髭をはやした中年の男が風も無いのにぶらりぶらりと揺れていた。

「そうそう、おれの彼女さぁ甘い卵焼きが好きなんだよ。今度きたとき作ってやってくれよ、かーさん。とーさんもその日は早く帰ってこいよ、みんなで晩ご飯食おうぜ。そうだ今日のおかず、、おかずは、、」

警察に通報したのは隣に住んでいたおばちゃんだった。
隣のおばちゃんの話では、おれは家族の死体に向かっていつまでも何かぶつぶつと話しかけていたらしい。
そしてどういうわけか警察はおれを逮捕した。