涙を流す私の身体を
きつく締め付ける腕
頬を寄せた胸から聴こえる
激しく脈打つ鼓動
それらが先生の怒りを物語り
安心感と切なさが入りまじって
顔を上げた
激しい怒りを宿した
鋭く光った目が
私の方を向いたとたん
ふっ……と優しく変わる
「大丈夫、大丈夫」
少し震えてる声
力を緩め
私の背中を擦る
大きな手のひら
吹き荒れる怒りを
私には見せまいとする
先生の気持ちが
ギュウッと
胸を締め付けた
不安も恐怖も何もない
あるのは絶対の安堵
この瞬間から先生は
私の世界になる
また広い胸に身体を委ね
きつく抱かれると
私の帰る場所も
私の居場所も
先生になった
それは
まだ恋とは違う感情だった
今は まだ 恋とは違った
私の中で
先生の存在は揺るがない
絶対なモノだったから
先生は男の人って認識が
まだその時はなかった――――



