先生の青





「イチの手は小さいよ」


先生は静かな声で言った



「肩だって こんなに細い」


背中から
先生のぬくもりが
伝わってくる



「イチ。

こんなに小さな身体で

なに重たい物 背負ってるの?」



息を吸うと
呼吸が乱れるのを感じた


身体を固くした私に


「いいから
全部オレに預けていいから

イチの重たい荷物は
オレが持つから

大丈夫だから
安心して大丈夫だから」




ドクドクと
速まる鼓動は不安から


英雄さんとのこと


あの苦痛を屈辱を


自分の口で
言わなきゃいけない不安



そして 何より


先生に知られるという
恥ずかしさ情けなさ



手が小さく震え出すと


私を抱く腕に力がこもり



「……力抜いてイチ
全部オレに預けてみな」



言われるまま
先生に寄りかかり
体重を預けてしまうと



先生の中に
入ってしまった気になる



落ち着ける場所も
帰る場所も
居場所もない



あるのは
力で虐げられる
恐怖や哀しみ、諦めの世界



全身が先生にすっぽり包まれ
体重を預けてしまうと


そこだけ世界と切り離されて



私を包む優しいぬくもりだけが
全てになる



ゆっくり
鼓動が落ち着いていって



「………好きな人が
出来たんです」




私は口を開いた