なんで家に電話なんか
「イチ。お前が最近
不安定だって事くらい
すぐ わかるよ
今日は休み時間とか部活でも
特に様子がいつもと違うし
ちゃんと帰ったか心配で
美術部の連絡網です。
なんて言って
イチの家に電話したら
まだ帰ってないって言うから」
それだけで
雨の中 あてもなく
私を探してくれたの?
「どうした、イチ
何がお前をそんなに苦しめる?」
口を開いても
言えない
口をつぐんで
うつむいた私の頭を
くしゃくしゃ
先生は撫でた
「ゆっくりで いい。
ゆっくりで いいから」
優しい言葉に
全て吐き出したくなる
だけど どうしてかな
先生
先生にだけは
知られたくない…………
「………イチ?」
目に溜まる涙で
先生の部屋がにじむ
泣いちゃダメ
唇を噛むと
余計に唇が震えて
のどを詰まらせた
「イチ」
先生の腕が
すっぽり私の頭を包み
「我慢するな、泣け
泣いていいから
オレがいるから」
胸が熱くなって
堰をきったように
涙が溢れ出した
先生の胸にしがみついて
きつく きつく しがみついて
子供みたい声を上げて泣いた
先生は何も言わず
ずっと髪を撫でたり
背中をさすってくれていた



