暗い空から降る雫が
風に吹かれ、落ち
地面にぶつかり弾けて
黒いしみになる
バラバラ バラバラ
帰り道は傘に当たる
雨粒の音が延々と響いた
ザァ――――――――
降りしきる雨の音は
意識のスイッチを
オフにするのに
向いてるのかも
気がつくと門の前
もう、家の前に着いちゃった
門に手をかけ開けると
濡れたアスファルトに走る
金属の溝
この線を越えたら家だ
その場に立ち尽くして
灯りのついた家を見た
すごく遠いな………
目の前にあるけど
すごく遠い
私の帰る場所は
本当にあそこなの?
誰が私を待ってるの?
誰も待ってなんかない
皆それぞれ
自分の事で精一杯で
夜は英雄さんに怯えて
そんな場所が
そんな場所だけが
私の帰る場所
「――――――…………」
ザァ――――――――
降りしきる雨の音が
さっきよりもクリアに聞こえる
帰る場所なんて
私に帰る場所なんて
どこにもない
クルッ
踵を返して来た道を戻った
一歩、一歩、地面を蹴るたび
歩調は速くなっていく
雨で濡れて冷えた
指先の感覚が鈍って
傘を落とした
立ち止まり振り返る
道の上に転がる
ピンクの傘を見つめると
容赦なく降りしきる雨が
私の髪を濡らして
傘をそのままに走り出した
もう何もかも嫌になった



