部活には顔を出したけど


絵を描く気にはならない


絵の具の匂いを感じながら
窓際に椅子を置き
どんよりした雲と
降り続く雨を見つめた




「やまないねぇ」


缶コーヒー片手に
三島先生が隣にきた



「やまないよ
週間天気予報も
ずっと雨だし」



6月だ。梅雨入りする




「イチ」


先生を見上げると




「1人になるなよ」



先生は真っ直ぐ窓の外を見つめ



「1人になるな
何があっても
何に換えても
オレが守ってやるから」



「……なに、言ってんの?」



乾いた声で冷たく返した



「先生。何言ってんのか
私にはわからないよ」



「いーよ。わからなくて
だけど、覚えておけ
何に換えても
お前を守る存在は
ここにいるからな」



遠くを


距離も時間も飛ばした


遠くを先生は見つめていた




その時、先生の目に


私の目は
どんな風に映ってたの?




先生は


何を思い出してたの?