恐怖で いっぱいの頭の中


だけど もう


英雄さんを受け入れたくない



「嫌だっ!やめてっ放してっ」



手も足も使って
全身で抵抗した


「黙れよ」


「……嫌っ!こんなの…
こんなの愛じゃないよっ」


彼の身体を押し返しながら
涙がこぼれた
額の汗で前髪が張り付く



「……英雄さんは
私を愛してないでしょう?」


言ってて
すごく悔しいし哀しい


「これじゃ…
性欲の捌け口じゃないっ!」



その言葉を聞くと
英雄さんは一度止まる


冷静な表情になって
口を開いた



「そうだよ。
欲以外に何が必要なんだよ
愛なんて思ったことないよ」




ショックだった


愛なんて思ったことない


その事実よりも


そのことに対して
悪気がない英雄さんに




「………いや…だ……」


私の中で何かが壊れていく



ぐしゃぐしゃに潰れて
汚れていく



どんなに泣き叫んでも


どんなに暴れても


それはビクリとも しない



彼の下で
自分が死んでいくのがわかった


暴れれば暴れるほど
自分の非力を知らしめられ



終わらせると確信してた
自分がバカみたいだ


ぐしゃぐしゃに潰れて


醜く汚れて死んでいく


身体が じゃない 心が


心が 彼の下で死んでいく