先生の青





車は どんどん速度を上げ



郊外へ向かって走っていく



進むたび
お店も街灯も少なくなって


不安だけが募り
ギュッとカバンを胸に抱いた



きっと今日は言えない


だけど それなら


いつ 私は 言えるんだろう


いつ 私は終わらせるんだろう


英雄さんが私に飽きるまで?


自分で考えたことに
ゾッとした





「………市花」


ふいに呼ばれてビクッとする


「カバン、後ろに置けば?
邪魔だろう」


「………あ、うん」


言われるまま
後ろに腰をひねり
後部座席にカバンを置いた



また前を向くと
今まであったカバンの
感触や重みが消えて
それだけで やたらと心細い



カバン、持っていれば良かった



「…………話って?」


………ドクン


「話があるんでしょ?
なんだよ?」



無表情で前を向き
窓に頬杖つきながら
運転する英雄さんの横顔



「なぁ、なんだよ市花」



少し強ばった頬を見て
この人、私が言いたいこと
本当は気づいてるんじゃないか
そう感じた



「………あの……」


窓の外を見ると山道だ


英雄さんが怒って
ここで放り出されたら
タクシーを呼べるかな