先生の青







集中治療室の前の廊下の椅子に座ってた何人かの人の中にカナさんはいた





ただ汗を流し
息を切らした私を見つけると
こちらに駆け寄ってきて
肩を抱いた




「市花さん………」



「せ、先生は……?」



口では そう聞いても
私は全然わからないままだった




どうやって
自分がここまで来たのか


どうして
自分が今ここにいて


カナさんは目を真っ赤にして
私の肩を抱き



なんで先生の容態を
聞いているのか?





「朝、おじさんのお店行く途中


信号無視の車が
横断歩道を渡ってた小学生に
向かって行って………


通りがかった泉が
助けようとして………」






手術は成功したけど
頭を強く打って
意識不明の重体だと
カナさんは言った





うなだれるカナさんに



「先生は………」



助かるのか
そう聞こうとしても
言葉は出なかった





カナさんは一度椅子に戻り
リュックを持ってきた



そのリュックには
血が生々しく付いてて



先生の血かと思うと
全てが急に現実みを帯びてきて
手が震え出した




「泉、いつも持ち歩いてて
ちょっとした時とかも
描いてたんだよ」




カナさんが
リュックから取り出したのは
スケッチブックで




震えて手が出せない私に
一枚、一枚
ページをめくり見せた




「泉はいつも
あなたのことばかりだったよ」




そこに描かれてるのは
先生の目を通した私で
自分に似た誰かみたいだった



私はこんなに表情を
豊かに変える
女の子だっただろうか?