先生の青





中絶の予約を翌日に控えた
その日3時間目は体育
バスケットボールだった




走り回ったら
流産するだろうか
なんてことを
ふと思ったけど



明日に中絶する人間が
心配することじゃないな



出番は今の試合が終わったあとだから、コートの隅、壁にもたれかかって座ってた




「ねぇねぇ、市花」


隣に座ってた絆とクラスの女子が話しかけてきて



最近話題の巻くだけで痩せるバンドについて話してたら




   「危ないっっ!」




叫び声にコートの方を向くと
ボールがこちらに飛んできてた




「きゃ……」


小さな悲鳴がもれて
反射的に目を閉じ
身を丸めた




    ダンッッ………




暗闇にボールが壁に当たる音が響いて
目をそっと開く



「ごめんねー」って言いながら
コートにいた女子が
ボールを拾いに来た




目を開いて気がついた
自分が取ったとっさの行動に
しばらく動けなかった



私の両腕はお腹にある



ボールが飛んできた瞬間
身を丸めて、
両腕でお腹を抱えてた




目からブワッと涙が溢れて
絆が慌てた様子で


「市花?どうしたの?
あれ?お腹?お腹どうかした?」



「………なんでもない……」




頭で考えるより先に
身体がお腹を守ってた



理屈じゃない
難しいこと
いろいろ考えたって



お腹にいるのは私の子
そして
…………先生の子だ……



………産みたい、私



堕ろすなんて出来ないよ
どんなことがあっても
先生の赤ちゃん産みたい……