先生の青






夜、机に向かって
病院でもらった
超音波写真をながめてた



病院の帰り道
コンビニのゴミ箱に
捨てようと思った


堕ろす子供の超音波写真なんて
そう思ったのに
捨てるどころか



ゴミ箱の前で
バッグの中から
写真を取り出すことすら出来ず
バカみたいに立ち尽くしてた




黒いモヤモヤの中に
なんだか不思議な形した
白いのが写ってる




……考えたらダメだ
何も考えるな




  ヴーヴーヴー
  ヴーヴーヴー




机の上のケータイが震えだす




  着信  泉島さん



三島 泉なんて
本当の名前登録して
もしもバレたらイヤだから
泉島さんなんて
変な風に登録してある




「………はい」


「イチ?今、大丈夫?」


「うん。大丈夫だよ」


そう言いながら
机の引き出しに
超音波写真をしまった



先生に見えるわけないのに
引き出しの奥の奥にしまった




「何か用?」


私の言葉に
先生は少し傷ついた声を出した



「『何か用?』なんて
冷たいな、イチ
用がなきゃかけちゃダメか?」



そんな先生が
なんだか可愛くて
ふふって笑ってしまう



「………ねぇ、先生」


「うん?」


「先生……私のこと好き?」


「ええっなんだよ急に………
………好きだよ、当然だろ?」


「そうだよね」と呟きながら
のどが 詰まって
涙が込み上げてきた


泣いてるって
気付かれたくない
声が震えないように
お腹に力を入れた



「先生
私も先生がすごく好きだよ」



「うん」って
先生の嬉しそうな声が
聞こえた時には
涙で前が見えなかった



心の中で何度も何度も
ごめんなさいと謝った



それは
先生に対してなのか
お腹の子に対してなのか
自分でも全くわからなかった