先生の青





思えば妊娠は
私にとって重大でも
あの医師には
日頃 何度となく見てる
何でもないことなんだ




病院のロビーの椅子に座り
会計を待ってると



トタトタ
椅子の間を走り回る
2歳くらいの男の子が
目に入る




若い母親が
「ダメ」なんて言いながら
男の子を捕まえる



母親の腕の中
身体をのけ反り
ぐずる大きな声




ロビーの
いろんな音が混ざり合う中
耳は小さな子供の声ばかり拾う
目はその姿を捉える



本当に今は少子化なの?
そのくらい
子供の姿ばかりちらついて




会計を終えると
逃げるように病院を出た






太陽の照り返しが厳しい
アスファルトの道をにらみ
足早に歩いた




耳には幻聴みたいに
子供の声が離れない




頭上に広がる濃い青空


日差しを受けて
青々茂る木々の緑



そこからこぼれる
木漏れ日の輝き



世界はこんなにまぶしく
美しく輝いてるのに
それがより一層
私のことを責めてるみたいだ



なんだか自分だけが
世界から突き放されてる