先生の青





「―――――――……っつう
いででででっ
しみるっ、しみるっっ」



「あー、もう、動かないでよ」



唇の端の傷に消毒液をつけた
脱脂綿を チョンチョンつけると



「お前っっ!女子なら
もう少し優しく………」


「…先生こそ男の子でしょ?」



消毒で こんなに騒ぐ人が
よくも病院行かないって
言い張るよなぁ



頬骨の傷や腕の傷
薬をつけて絆創膏を張る



手当てを終えると


「いい男が台無しだな」


ふざけた事を言って
また横になった。



救急箱を食器棚の上に乗せ



「常備薬とか揃ってるし
先生にしては意外だね」


救急箱の中身を褒めると


「…………おふくろが
送ってきたんだ」



……おふくろ


馴染みのない言葉だな


私はお母さんって呼ぶし


英雄さんがお母さんを
呼ぶところ聞いた事ない……



     ズキン……



――お前オレの彼女だろう



頭の中、
急にカラオケでの事が
よみがえる



食器棚の前で立ち尽くし
動けなくなると



「木下」


いつの間にか
キッチンとリビングの境目に
先生が立っていて



「………なに?」


乾いた唇から出た声は
びっくりするほど震えてた