夜が明ける前に
家に戻った
まだ薄暗い部屋に帰ると
部屋の静けさが身にしみる
さっきまで
この耳元に
先生の甘い声が
この身体に
回された腕の感触が
さっきまで………
先生のぬくもりを
抱きしめてたのに
………泣かない
………泣いたらダメだ
先生が迎えに来てくれるまで
泣かないで頑張るんだ……
床に座り込み
自分で自分の身体を抱きしめた
ひとりぼっちじゃない
大切な人がいる
離れていても
心を通わせる人がいる
今度 会う時は
もう その手を離さなくても
いいように
自分の大切なモノ
誰の手からも
守れるように
強くなるんだ
顔を上げると窓の外
白んだ夜明けの空から
眩しい朝日が溢れてきた
………まだまだ先は長い
遠すぎて希望の光は
まだまだ見えない
だけど絶対に掴んでみせる
幸せになって
ざまあみろって
世界中に笑ってやる
ゆっくり立ち上がって
少し早いけど
学校へ行く準備をする
私はもう大丈夫だ
何があっても



