先生は少し
泣きそうな表情になって
私を抱き寄せた
髪に先生の唇が触れる
そこから言葉にならない
気持ちが伝わってくる
私と英雄さんの
血の繋がりに
先生だって
うちひしがれただろう
「離れるのはつらいけど
必ず迎えに行くから
イチはここで待っててほしい
イチが高校を卒業する
来春までには必ず
必ず迎えに行くから」
イヤだ、イヤだ
離れるなんてイヤ………
だけど高校を辞めた今
諸悪の根元の私を
実家に連れて帰ることは
出来ないんだろうな……
お父さんだって
きっと黙ってない
先生の実家を捜し当てて
また迷惑をかけるかも知れない
でも………
ギュッと
広い背中に回した腕に
力を込めた
このぬくもりを
離したくない………
怖いよ、先生
離ればなれになって
私は一人で先生を待てるか
自信ない………
先生の胸に顔を埋めて
声を押し殺して泣いた
離れたくない
離れたくない
離さないでほしい
遠くになんて
行かないでほしい
「…………イチ……」
肩を震わせる私の背中を
先生はそっと擦って
「イチ、愛してるよ
つらいけど頑張ろう
今度迎えに行ったら
もう絶対に離さないから」
先生の腕の中
泣いて泣いて泣いた
そして
「……わかった」
張り裂けそうな
胸の痛みを堪えて
うなずいた



