先生の青





そっと優しく
先生の指が私の頬を撫でる



「………いつ、知ったんだ?」



先生の目が見られなくて
視線を逸らした



「……お母さんが家出した時にお父さんが」



はっきりと嘘をついた
去年、英雄さんからなんて
どうしても言えなかった



「そうか」



今でさえ
こんなに傷ついた顔をする先生に本当の事なんて言えるはずない



先生は目を伏せ
低い声で訊いた


「………英雄くんは?
英雄くんは知ってたのか?」



首を横に振って


「知らなかったみたい
私と同じ時に知ったみたいだよ」



真実なんて残酷な事ばかりだ


先生は
そんなこと知らなくていい


きっと私以上に
傷ついて怒るでしょう


これくらいは
私も先生を守りたい



私の頬を撫でる
先生の手に少し力が入る




「お父さんが言ってた
英雄くんが戻ってきてるって
英雄くんはもうイチに……」



多分、先生の迷うところは
そこなんだろうな



「本当の妹だって
わかったんだもん
何も出来ないよ……」



英雄さんに襲われるから
連れて行ってくれって言えば
先生は迷わず
私を連れて行ってくれるかな



それでも言えるはずない
先生の胸を痛めるようなこと
私が言えるはずもない