「………なんで……?」
とても情けない声が出た
先生は表情を曇らせる
「迷ったんだ、すごく。
何が一番イチにとって
良い事なのか
ずっと、ずっと
すごく迷った
正直、今も迷ってる」
「だったら連れて行って
私は先生のそばにいたい」
「………オレも
イチのそばにいたい
だけど、オレは今 不安定だ
実家に戻って
新しい仕事見つけて
態勢をしっかり
立て直してから
必ず迎えに行くから
イチはここで
ちゃんと学校を卒業するんだ」
「そんな、そんなのイヤ!
イヤ!離れたくない!」
先生の胸元を掴んで
首を何度も横に振った
「イヤ!置いて行かないで
連れて行ってっ!」
「イチ、落ち着いて」
先生はそっと
私の肩に手を置いた
「イヤなの、あんな家に
ひとりぼっちはイヤ……」
泣いてすがりつく私に
「お父さんとイチって
実の親子なんだってな」
「―――――――…………」
胸に鋭い痛みが走った
先生には知られたくない事を
知られてしまった
表情を失くした
私の頬を先生は撫で
悲しげな目をして言った
「………ごめんな、イチ
言えなかったんだろ?
苦しかったよな
わかってやれなかった事
本当にごめんな」



