先生の青





先生の言葉に
涙が止まらなくなって
またギュッと抱きついた



そんな私の髪を
今度は優しく撫で



「………ただ、それからは
少し迷ったけどね……」



「………迷った?」


顔を上げて聞き返した私を
ふっ…と笑って見て



「さ、靴、脱いで
部屋に上がろう」




リビングに一歩踏み入れて
呆然と呟いた




「先生……これ」


部屋は段ボールだらけだった



先生は私の隣で
「うん」ってうなずいて



「実は明日
引っ越しだったりして」


まるで他人事みたいに言った



「そんな」



「とりあえず地元に帰る」



そう言って先生は
リビングの床に座った
ベッドももう片付けられてた



明日 先生がいなくなる
ショックで ただ立ち尽くしてた



「親父のところで働きながら
また美術関係の仕事を探すよ
オレにはやっぱり
それしかないから」


地元に帰る
先生がいなくなる



「親父なんて
疎ましいだけだったのに
今となっては
親父が商売してて助かったよ


言ったことあったかな?
家、スーパー経営してんの
他に不動産もいくつか」



「私も行く」



私の言葉に
先生は表情を固くした



「先生、私も行く
私も連れて行って」



先生の隣に座り込み
「お願い」って
腕を掴んだ



先生は腕を掴んだ
私の手をそっと握り



「今は無理だ」



そう はっきり言った