先生が学校を辞めてから
10日目の真夜中だった
ベッドの上
ひざを抱えて
部屋の暗闇を
ぼんやり見てた
その頃には もう
身体も心も麻痺したように
何にも感じなくなってた
感覚を殺さないと
ただ呼吸することさえ
私を苦しめる
ベッドから降りて
窓を明け
夜空を見上げた
湿った夜風が
頬を撫でていく
真っ暗だな………
真っ暗闇だ………
「はぁ…………」
ため息をついて
視線を落とす
希望なんてどこにもない
どこにも…………
そう思った時、視線の先に
家の門の前
一台の車が停まったのが映った
…………夢かな
きっと夢だ
夢を見てるんだ、私
だって現実に
こんな都合のいい事が
起きるわけがない
現実は苦しいことだけだ
なのに
真夜中の静けさの中
バンッと車のドアの音が響いて
先生の姿が見えた時
身体はもう動いてた
走り出したい衝動を抑え
寝静まる家を
音をたてないように
そっとそっと抜け出した
夢でいい
夢でもいい
会いたい
会いたかった
会わせる顔がない
なんて気持ちは
遠くに飛んでた



