先生の青





ご飯を食べてる時も


いつ先生が
お父さんの事や
学校の事
これからの事を
訊いてくるか



怖くて気を張りつめてた



だけど先生は何も言わず
当たり障りのない会話をした




いつもと違う私を
先生が一番
感じていたのかもしれない




現実に向き合う強度を
今の私は少しも
持っていなかった




夜はとにかく
先生から片時も離れなかった



お風呂まで一緒に入る
と言った私を
先生はもう驚かず
優しく受け入れてくれた




「イチは甘えん坊だなぁ」



狭い浴槽で
ぴったり抱きつく
私の頬を撫でる
先生の声が反響する



「そりゃそうか………
イチはまだ子供だもんな」



ピチャン……って
お湯が跳ねる音がした


そっと私の肩に手を置き
身体を離して
先生は私の目をのぞき込んで




「泣いてもいいよ
怒ってもいいんだよ
胸に溜め込まないで


あんまり我慢するから
そうやって
押し潰されちゃうんだよ


押し潰される前に
オレにぶつけなさい


イチの重たい荷物は
オレが持つからさ」



真っ直ぐ私を見つめる
先生の顔が涙で曇って
見えなくなった



情けない嗚咽が浴室に響く



先生は私の背中をさすり



「お母さんのことも
ちゃんと責めなさい
辛いことや悲しいことに
向き合うのは大変だよ


だけど、たくさん怒って責めて
全部、吐き出したら
難しいかもしれないけど
嫌なことは忘れて次に進もう


未来のことを考えようね
オレはイチとずっと
一緒にいたいから」