夕方、部屋の中は
キッチンからの熱気で
湿度が高く感じる
1日中、降り続ける
穏やかな雨のせいかも
しれないけど。
鍋の中のロールキャベツが
うまく煮えてることを確認してふたを閉めた時
ガチャン
玄関のドアが開いた。
トタトタと玄関に進み
「おっかえり~」って
明るい大きな声を出して
出迎えた私を
先生はお化けでも見たように
驚いて固まってた
「先生?」
「あ、いや、なんか
テンション高くて……
なんかイチらしくなかったから」
先生を出迎えた満面の笑顔が
ひきつっていくのがわかる
私ってどんな顔でどんな声で
「おかえり」を言う
キャラだったっけ?
なんだか取り返しのつかない
大失敗をしたようで
泣きそうになった
でも どこかに冷静な自分もいて
こんなことで
泣きたくなるなんて
そんな風に呆れてる
先生はビミョーな雰囲気を
取り繕うように
靴を脱ぎながら
「なんか、いい匂いする」
その言葉に何も返せない
普通にロールキャベツだよって
言えばいいのに
普通にってどんな感じだっけ?
さっきみたいな事はイヤだ
うつむいた私の頭を
まるでワンコを撫でるように
先生はくしゃくしゃ撫でた
「ただいま、イチ」
優しく言って
おでこにキスをしてくれる
それで スッ……と胸が落ち着く
許されてる気持ちになる



