翌朝、先生は学校に行く支度をしながら
「え、制服も何も
持って来なかったのか?」
少し驚いたように言った
私はキッチンで
目玉焼きを作りながら
「だって私ずっと
ここにいるもん
先生と結婚するんだから
学校なんか行かないよ」
「………だからって
さっそく今日から……」
「あー、もう
ごちゃごちゃ言ってないで
朝ごはん食べて行かないと
遅刻しますよ」
半熟の目玉焼きを
お皿に移して
テーブルに運ぶ
「ほら、食べよう?」
そう言った私を
少し困った表情で
先生は見てたけど
口元には嬉しさを
にじませてた
先生を学校に送り出し
テーブルの上の食器を
流しに置くと
カチャンって
食器がぶつかる音が
やたらと大きく響いた
部屋の片付けを
だいたい終え
さっぱりした部屋で
「はぁー」ってため息ついて
ベッドに仰向けに寝転がる
じっと天井を見つめると
夜から降り続ける雨音以外
何も聞こえず静かだった
ケータイには朝3回
お父さんから着信があった
留守番には
「心配してるから
連絡しなさい」って残ってた
雨音に耳を澄ませば
心がだんだん閉じていく
……………疲れたな
なんか すごく疲れた
このまま雨に
閉じ込められれば
いいのに
誰にも会いたくない
誰とも話したくない
先生だけ
先生以外とは関わりたくない



