先生の青





先生の部屋に着いて
玄関のドアを閉めたとたん
靴も脱がずぶつかるように
抱きついた



不意打ちだった先生は
「イチ?」って
驚いた声を出して
少しよろけた




何も言わず
背中にまわした腕に力を込め
鼻先が埋まるくらい
胸に顔を押し付けた



「………なんだ子供みたいだな
ほら、イチ、靴脱いで」



先生に優しく言われ
靴を脱ぐけど
絶対に腕はほどかなかった




先生を掴んでいないと
一瞬でも手を離したら
不安でたまらない




私には先生しかいない








「……………イチ
お父さんと何を話した?」


ベッドに座り
先生がそう訊いた


だけど、私は黙って
首を横に振り
先生の背中に回した
腕に力を込めた




「…………そっか」


先生はそう呟いて
私の背中を擦り



「うん。
無理して話さなくていい
今日はもう寝るか」




二人とも服のまま
ベッドに入った


私が絶対に離れなかったから
着替えもできなかった






この手を離したら
死んでしまいそうだった



他の人が聞いたら笑うだろう



だけど本当に
力いっぱい
先生の身体にしがみつかないと



私は死んでしまいそうだった