バンッ
後ろ手に
部屋のドアを閉めると
力が抜けて
床に座り込みそうになる
………だけど
先生………
先生のところに行きたい
机の上のケータイを取った時
「市花!」
ノックもせず
英雄さんが入ってきた
身体がビクッとなり
ケータイ握ったまま固まる
「何なんだよ、お前
さっきの態度」
ジリジリ
こちらに向かってくる英雄さん
後退るとすぐに
机に腰をぶつけた
トン……
英雄さんは机に手をつき
私は間に挟まれ
身動きが取れない
「オレの母親を追い出して
一ノ瀬に入ってきたクセに
このざまかよ」
蔑むような
冷たい目をして
英雄さんは言う
「謝れよ」
「え?」
「お前の母親がした事だろ
家を混乱させた事を
手ぇついて謝れよ」
「そんな……」
そんなの 理不尽だ
確かにお母さんは
お父さんに悪い事をしたけど
なんで私が英雄さんに……
「なんだよ、その目は」
グイッ
強くアゴをわしづかみにされ
痛みに顔を歪めた
「やだ……」
「お前さ」
アゴを掴んだまま
鼻の頭が
ぶつかりそうなくらいの距離で
英雄さんは私の目を
のぞき込んだ
「お前さ、
出て行きますって言ったな
行くあてがあるのか?」
「……………」
黙って顔を背けようとしたら
アゴを掴んだ英雄さんの手に
より力が入る
「………痛い」
「あのセンコーか?」
英雄さんの目が
ギラッと光った
「お前
まだ あのセンコーと
続いてんのか?」



