先生の青





英雄さんの後に続き
リビングへ向かった



スーツ姿のお父さんが
ネクタイを緩めながら
ソファーに座ってた

戸口に立った
英雄さんと私を見て
アゴで向かいのソファーを差し


「英雄、市花ちゃん
座りなさい」



先にソファーに座った英雄さんは隣に座ろうとした私をニヤニヤして見てた




………気持ち悪い



「ふぅ」って
ため息をついてから
お父さんは口を開いた



「これを」


お父さんがテーブルに出した
一枚の薄い紙



「郵送で届いた。
姿を消した日
駅前の郵便局の消印だ」



一枚の薄い紙は
妻の欄が全て埋まった
離婚届けだった




紙に記された
お母さんの字に
胸が掻きむしられるような
思いがした




「きっと これを投函して
どこかに消えたんだろう」



「………なにか」


考えるより先に
震える唇が動いてた


「なにか他に………
なにか……………」


お父さんは眉を寄せ
哀れむような視線を
私に向けた



「何もないよ
離婚届けが一枚だけ」



ガラガラって
足元が崩れ落ちそうなくらい
ショックを受けた



ひざの上の手を
きつく握りしめた




……そんなのないよ


お母さん
そんなのないよ………