学校を出たのは
ちょうど昼休み
ざわついた廊下を抜け
玄関で靴を履き替えてると
三島先生が走ってきた。
息を少し切らして
きょとんとする私に言った
「送ってく……から
正門の前で待ってな
車、持ってくから」
「あれ、でも先生
森さんと電車で登校して」
電車で来てるから
車なんてないんじゃ
「うん。だから
中島先生の車借りる」
中島先生……
三島先生と年の近い先生だ
わしわし
私の頭を撫でてから
先生は職員玄関へ
小走りで行った
私を送る車の中
先生は
「帰ったらゆっくり話聞くから
それまでは何も考えない事」
「………はい」
「ちゃんと寝てるんだぞ」
「………はい」
「何にも心配するな
イチにはオレがいるからな」
ハンドルを握り
前を真っ直ぐ見てる先生は
すごく力強い目をしてた
マンションの前に着いて
車を降りようと
ドアに手をかけた私を
先生は呼びとめた
「イチ!」
「ん」って振り返ると
先生は優しい顔して
「すごく愛してるよ
オレはイチを
すごくすごく愛してる」
「………うん」
胸が詰まって
泣きそうになった私を撫で
「じゃ、オレが帰るまで
おやすみなさい」
明るく言って
先生は笑った



