「―――――――………」



目を開くと見慣れない天井




 ツー、ツー、ツー



耳に電話の切れた音が残ってる




 お母さん、お母さん



声にならなかった
幼い私の必死の叫びも






「お。イチ起きたか」




絶望の音と声を消したのは
この世で一番 愛しい声だ





「………せんせ……?」



天井から
ゆっくり視線を移すと
横から心配そうに
私を見つめる
三島先生がいた





「……私、どうして」


上半身を起こした私の肩に
先生は手を添えて




「起きて大丈夫か?
イチ教室で倒れたんだって


最近、愛夏がさ学校来ても
保健室にばかりいて


授業出なきゃ
単位取れないだろ
心配だから
ちょこちょこ
保健室顔出すんだよオレ


そんなんで保健室来たら
真っ青な顔してイチが寝てるし
…………大丈夫か?」



………そうか
教室で倒れたんだ



「まだ顔色悪いぞ
どうしたんだ?」



隣のベッドを見るけど
カーテンに仕切られてて
全く見えない



森さんがいるのかな?



私の目線に
気がついたんだろう



「今、ここには誰もいないよ
養護教諭も職員室だ」



先生は椅子から
ベッドに移って
私の肩を抱いた