「だって、朝 一緒に登校してるのは他の生徒だって見てるでしょう?」



「だろうね」



………だろうねって


「休み時間だって
準備室で二人きりだったら」


「オレは浮気なんてしないよ」


「先生が森さんに何もしないのはわかってるよ。


だけど周りはそう思わないよ
変な噂になったら
先生が圧倒的に不利だよ」



もう少し女子生徒の対応には
慎重にならないと


先生がいくら
何もしてないと主張しても
森さんが何かされたと
でっち上げれば………



それをネタに森さんが
先生を脅さないとは限らない。



「森さんが
先生と付き合いたいがために
先生を陥れるかも………」



「すごい想像力だな」



「想像力じゃなくて
先生も少しは気をつけてよ」



「わかった、わかった
わかったから…………」



おでこや頬にキスをして



「その気にさせて
おあずけなんて
拷問しないでよ……」



……本当にわかったのかなぁ
スッゴク疑わしいけど



ギュウってされて
たくさんキスをして



「この夜のために生きてる
と言っても過言じゃないくらい
イチが好きだ…………」



バカみたい
バカみたいだ
すごい嬉しくなる



私もだよ。って言葉を飲み込み
先生の背中に腕をまわす



想いが通じ合う者同士だけの
溶けるほどの熱と甘さを
分かち合う



だけど、その裏には
お互いに苦さも抱いている



私は英雄さんの事を
先生はフミさんの事を



決して口にも顔にも
出さないけど



身体を重ねて
ふと目が合った時に
透けて見えてるのかも知れない



甘さと同じくらい
苦さも共有してしまってるのかも知れない



決して口にも顔にも
出さないけど